福島県立美術館

人形劇プロジェクト

福島展では、美術館主催事業として大学生による「人形劇プロジェクト」がおこなわれました。かがくいが、松戸つくし養護学校の同僚と人形劇の活動「つくし劇場」に取り組んだのは30代前半、動くものに反応する子どもが多いことへの気づきがきっかけです。ストーリーはなく、キャッチ―な流行曲にのせて人形のラインダンスを見せる独特なスタイルのものでした。日用品や段ボール紙を用いた見立ての人形、音と動きの連動、そして観客である子どもたちとの即興的な交感。かがくいの人形劇には、のちの絵本制作で表れる全てのエッセンスが詰まっています。

プロジェクトでは、福島大学と福島学院大学で美術教育・保育について学ぶ学生有志12名が、人形劇団プークの指導を受けながら稽古を重ねました。かがくい作の演目「だちょうの卵」の人形づくりから始め、演目の再現、そしてオリジナル作品の創作にも挑戦しました。かがくいが活動を通じて表現したかったものに想いを馳せながら、チームごとに話し合い、本番ギリギリまで試行錯誤しました。

そして、迎えた本番当日。毎公演100名を超える満席の観客が見守る中、初めこそ緊張が見られたものの、最前列を陣取る子どもたちの笑顔にパワーをもらうかのように、回を追うごとに自信をもって、演じることを楽しむ学生の姿がありました。どのチームも、ペットボトルや紙コップ、帽子、メジャー、鍋つかみ等、身近なものを生き物に見立てたり、触感が楽しい小道具に仕立てるなど、「かがくいさんらしさ」を感じさせつつも、それぞれの創意工夫がふんだんに盛り込まれた内容でした。

自分が考え、作ったもので、目の前にいる子どもを喜ばせたい―かがくいの創作の根幹を、展示とはまた異なる形で伝える、素晴らしいプロジェクトとなりました。

記録映像

総集編

チーム「オノマトッペ」

チーム「フィッシュトレーナーズ」

チーム「フードファイター」

【主催】
福島県立美術館
【協力】
人形劇団プーク、国立大学法人福島大学、福島学院大学
【指導】
人形劇団プーク 栗原弘昌 川尻麻美夏

【参加学生】

―福島大学

内谷 空、齋藤 愛実、島貫 ももこ、高橋 泉帆、高橋 優奈、
半谷 凜音、藤巻 みなみ、村田 理香、
若林 未来

―福島学院大学

伊賀 彩花、梅宮 菜、酒井 紗彩

【制作協力】

渡邊晃一
(福島大学 人間発達文化学類 芸術・表現コース 教授)
鈴木美樹
(福島学院大学 福祉学部 こども学科 准教授)
堀川佳子
(「かがくいひろしの世界展」企画制作)

【特別協力】

水島尚喜
(聖心女子大学教授、「かがくいひろしの世界展」監修者)

【上演】

日時:2025年2月22日(土)、23日(日)
場所:福島県立美術館企画展示室

特別協力:
加岳井久美子、渡辺直子、加岳井武志/ブロンズ新社、沖本敦子、山崎敬三
協力:
講談社、PHP研究所、佼成出版社、教育画劇、偕成社、玄光社、白泉社/特種東海製紙、絵本ナビ/人形劇団プーク、ロバの音楽座
監修:
水島尚喜(聖心女子大学教授)
クリエイティブデザイン:
柿木原政広(10 inc.)
映像:
べんぴねこ
企画制作:
堀川佳子、文化企画